ホメオレシス理論

​要求量は因子アプローチで算出されますが、栄養素の使われ方、すなわち栄養配分は、生産ステージによって優先順位が決められているはずです。従って飼料評価・設計プログラムは、その順位によって変化する各ステージの予測要求量に対応する必要があります。

その配分機序を明らかにしたのが、ホメオレシス理論です(Bauman and Currie, 1980)。

下図は一例として、栄養配分の優先順位が、泌乳、成長、妊娠となっていることを示しており、泌乳初期からピークに認められる現象と考えられます。

 

 

 

当理論が提唱されるまでは、「周産期から泌乳ピークにかけてなぜ泌乳量が増えるのか」、という極めて単純な問いに対しての明確な解答がありませんでした

泌乳後期において成長ホルモンを投与すると「周産期を再現する」ことが実証されており、その理論の正しさが確認されています。

ホメオレシス理論に関する論文は、Journal of Dairy Scienceで発行された過去の全ての論文における引用数で常に上位に位置しており、飼料設計だけでなく乳牛科学全般においても、重要機序の一つとなっています。

 

 

 

 

 

 

飼料評価・設計モデルが実測を予測するためには、下記の2点が重要であると挙げられています(Daniel et al., 2020)。

このうち、「体内栄養分配」を明らかにするのがホメオレシス理論であり、その理論に関連する研究は、現在も米国が主となって継続しています。

  1. 吸収に利用出来る栄養素の正確な予測

  2. 体内栄養分配と、吸収された栄養素の牛乳への変換効率の正確な予測

ホメオレシス理論を提唱し発展させ続けているDale Baumanコーネル大学名誉教授から聴き取りを繰り返し、同教授より頂いた膨大な資料を纏めた拙文が公開されていますので、ご興味ある方は以下をクリックしてアクセスして下さい。Bauman先生はCLAによる乳脂肪低下機序を最初に明らかにした人物でもあります。

「ホメオレシスについて、古く,新しく,そして実践的な理論」

ホメオレシス図1
ホメオレシス図2

Bauman, 2012を日本語訳